皮膚科について
皮膚の症状がある場合、病院に行くよりもまずは市販薬に頼る方も多いかと思います。しかし場合によっては症状がむしろ悪化し、重症化してしまう場合も少なくありません。当院では患者さんの個々の症状に合わせて、適切な治療をさせて頂きます。どんなちいさな症状でも、まずはお気軽にご相談ください。
にきび
にきびは毛穴に皮脂が詰まり、「面皰(めんぽう)」と呼ばれる状態になっています。皮脂の多い部分、特に、顔にできやすく、赤みが強ければ目立ち、治ってもにきび跡が残ることも少なくありません。主な原因は皮脂の過剰な分泌であり、にきびの元になるアクネ菌が面皰内の皮脂を栄養源に増殖します。放置していると悪化し、赤みや膿などの症状を生じます。
思春期のにきびはホルモンの分泌が増加し、皮脂腺の働きが活発になるために起こります。一方、大人のにきびは、不規則な生活・睡眠不足・ストレス・ホルモンバランスの乱れ・紫外線などが原因として挙げられます。
当院ではピーリング作用のある過酸化ベンゾイル、アダパレンなどの外用薬や抗菌薬、漢方薬、ビタミン剤などの内服薬を、患者さんごとの症状に合わせて組み合わせて治療を行っています。また、自費治療でピーリングやエレクトロポレーションの治療も行っております。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。遺伝的要素に加え、様々な内的・外的悪化要因で起こります。慢性的な病気であり、上手に薬を使って体で起こっている炎症を抑え、日常を支障なく過ごせるよう維持することが治療の目標になります。
当院ではステロイドやステロイド以外の塗り薬を用いた軟膏治療やかゆみを抑える抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服治療に加え、注射薬「デュピルマブ(商品名デュピクセントR)」の治療も行っております。デュピルマブは、病気の原因物質に抵抗する「抗体」を人工的に作り出した注射薬で、注射することでアレルギー症状を起こす物質を抑えることができます。
生物学的製剤による治療はやや高額にはなりますが、高額療養費制度の対象となります。
患者さんに合わせた治療方法を提案させていただきます。
じんましん
痒みの強い、赤い膨らみができて、そしてそれが24時間以内に消えていく病気をじんましんと言います。多くは痒みを伴い、消失と出現を繰り返します。6週間以内に治る急性じんましんと、それ以上の期間にわたって断続的に発症する慢性じんましんがあります。原因は食べ物やダニ・ホコリなどのアレルギーや内服薬、細菌やウイルスの感染など様々ですが、原因が特定できないことも少なくありません。
治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服を行います。多くの人は数日で症状が治まりますが、すぐに薬を中断してしまうと再発する場合も少なくありません。そのため医師の指示に従い、徐々に薬を減らしていくことが大切です。
湿疹(皮膚炎)
湿疹は皮膚に炎症が起きることで、皮膚に赤み、かゆみやぶつぶつができた状態です。湿疹は非常に頻度の多い皮膚の病気で、湿疹を伴う疾患としてはアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、おむつ皮膚炎など様々です。
治療にはかゆみや炎症をおさえる外用薬や内服薬を用いることで症状を改善させつつ、その原因を突き止め、それに応じた治療を行います。また日常的に皮膚を清潔に保ち、適切に保湿すること、症状が出やすい箇所に刺激物が触れないよう気をつけることも大切です。
ヘルペス
単純ヘルペス(単純疱疹)はヘルペスウイルスが皮膚や粘膜に感染することによって、口唇や陰部などに痛みを伴う小さな水ぶくれが生じる病気です。一度感染すると症状が治ってもウイルスが体内に潜伏するため、風邪や発熱、疲れやストレスなど免疫力が低下した時にしばしば再発を繰り返します。再発時にはなるべく早く抗ウイルス薬をすることで速やかに症状を落ち着かせることができます。治療が早いほど症状は軽くて済みますので、前兆(チクチク、ピリピリとした違和感)を感じたら早めの受診をお勧めします。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)
帯状疱疹は子供の頃に水ぼうそうとしてかかったウイルスが潜伏し、加齢やストレス、過労などで免疫力が低下した時に活性化して現れる病気です。体の片側にピリピリとした痛みやかゆみに始まり、その後そこに赤い斑点と小さな水ぶくれが帯のように多数出てくるのが特徴で、体のどこにでもできる可能性があります。帯状疱疹は、日本人では80歳までに約3人に1人がかかると言われています。
水ぶくれが治った後も神経痛の後遺症が残ったり、できる場所によっては顔面神経麻痺や難聴、視力低下などの重篤な症状を引き起こすこともあるため早めの治療が必要です。乳幼児など水ぼうそうにかかったことがない人には、水ぼうそうとして感染することがあります。
治療は早期にウイルスを抑える抗ウイルス薬を内服する必要があります。また痛みに対しては鎮痛剤や神経の回復を助けるビタミン剤を内服します。
予防には50歳以上の方を対象にワクチンの予防接種が行われています。予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、その予防効果は高く、また発症しても症状が軽くすむという報告があります。
当院でも接種可能(自費)です。特に高齢者では、症状も治療も長引く可能性があるため、接種をお勧めします。
水虫(足白癬、爪白癬など)
白癬菌(はくせんきん)というカビが皮膚に感染する病気です。足の皮むけ、皮膚の赤みやかゆみ、水ぶくれ、爪の肥厚や変形など様々な症状が現れます。ご家族に水虫の方がいると同居者への感染リスクが高くなりますので、ご家族のためにもしっかり治すことが重要です。
診断には皮膚の皮の一部や爪を採取し、顕微鏡で検査を行います。治療には飲み薬や塗り薬があります。症状が軽くなったからといって、途中で治療を中断すると再発いたします。
水虫と似たような症状の別の病気もありますので、自己判断で誤った診断や治療を開始せず、まず診察を受けることをお勧めいたします。
ふけ症(脂漏性皮膚炎)
脂漏性皮膚炎は、主に乳児と思春期~40代の男性の皮脂の分泌が活発な部位(頭部、顔面、腋の下など)で発症しやすい疾患です。皮膚にかさぶたや赤み、皮むけやかさつきがみられるほか、人によってはかゆみが生じます。原因は皮脂の分泌亢進のほか、皮膚の常在菌であるマラセチアが増え、皮脂を分解することにより生じた物質が刺激となると考えられています。マラセチアが過剰に増える根本的な原因は分かっていません。
治療は症状が軽度の場合は適切なスキンケアや低刺激性のシャンプーの使用等で改善しますが、症状の強い場合はステロイド外用剤を使って皮膚の炎症を抑えたり、場合によってはマラセチアの繁殖を抑える抗真菌外用剤や抗真菌薬含有シャンプーを併用することもあります。
たこ(胼胝:べんち)・魚の目(鶏眼)
どちらも足の裏の皮膚が硬く厚くなった状態です。力のかかる部分の皮膚が厚く盛り上がります。足に合わない靴やハイヒールなどはできやすい原因の一つです。そのほか加齢などの足の形の変形によってもできやすくなります。魚の目は、厚くなった角質の中心にくさび状に芯ができるため、これがとげのように当たるために痛みが強く出ます。
治療は硬く厚くなった皮膚を削ります。治療せずに放置していると感染を起こしたり、潰瘍となったりすることがありますので、受診をお勧めします。また、削った後も再発を繰り返す病気です。できにくくするため、正しいサイズの靴を履くことやインソールの使用、シリコン製の装具の使用などもお勧めしています。
乾癬(かんせん)
乾癬は免疫機能の異常に肥満や喫煙、糖尿病や薬剤などの環境因子が加わり起こる、皮膚の炎症を伴う慢性の病気です。皮膚が少し盛り上がった赤い発疹の上に、フケのようなもの(鱗屑)付着してみられます。頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざなど比較的外からの刺激を受けやすいところに出やすいという傾向があります。
人に感染する病気だと誤解されやすいのですが、他の人に感染する病気ではありません。
乾癬は、症状が軽くなったり悪化したりを繰り返す病気で、症状のは患者さんごとに異なります。そのため、患者さんの症状に応じて適切な治療を組み合わせて行います。
基本的な治療法には外用療法、内服療法、光線療法があり、これらの治療で十分な効果が期待できない場合には、生物学的製剤による治療が行われます。また症状を悪化させないためには、規則正しい生活や食習慣を心がけることが大切です(当院では生物学的製剤の光線療法は対応しておりません)。
酒さ、赤ら顔
顔面(特に鼻の周り)が赤くなったり、ぶつぶつとした皮膚の盛り上がりがみられる病気で、中年以降の人によく見られます。原因は完全には明らかになっていませんが、遺伝的要因のほか、日光や飲酒、ストレスなどの環境因子が関係していると考えられています。問診と症状から診断が行われますが、ダニの感染が疑われる場合には顕微鏡で調べることもあります。
治療には塗り薬や飲み薬がありますが、鼻にできるかたまり(鼻瘤)に対して手術やレーザーによって治療を行うこともあります。
専門外来を行っています
毎週、日本皮膚科学会認定専門医による皮膚科専門外来を行っています。予約制ですので、ご希望の方はお電話でご予約をお願いします。
主な診療内容
- アトピー性皮膚炎
- ニキビ
- 水虫
- いぼ
- じんましん
- 手荒れ、かゆみ、美容
担当医
原 耐子(日本皮膚科学会認定専門医)
外来時間
毎週月曜10:00~18:00
毎週金曜10:00~17:00